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□ばいばい
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思えばさ。

昔から俺達は顔を合わせれば喧嘩してた記憶しかないな

でもさ
いまはお前のこと、真正面から愛してるって。
この世の中でお前しかいないって言える











かしゃ

ガシャッ


はは、
もう右手がもう動きそうにないや
時雨金時も持てねぇ
体はゆうこと聞かない…



帰…れるか…な……



獄寺…
待って…るもん…な…


もうすぐ…帰るから…な…?
待って…ろよ…




ご…くでら…





















「―――……ぁ?」

「ん、どうかした隼人?あ。そんなしょっちゅう武のこと考えてちゃ駄目だよ♪」

「なッ!!十代目ぇ!!」

いつも通り、執務室で執務をこなす十代目と右腕の俺。

「や…なんとなく…?て、テレパシー…みたいな?」

「あはは!全くもう仲良し過ぎるんだからー隼人と武ってば!」

…この人は俺をからかって遊んでんじゃないか
とつくづく思う






そりゃ…俺は…………

や、山本のことばっか考えてて…
す…きなんだろうけど(あいつはどうだか知らん)
自分でも頭おかしいと思っ
うん。おかしいな。

10年前まであんなに言い合ってた俺らが好き合うなんてさ、
…俺も随分変わったさ

「あー…そういえば武遅いね?いつもの様子だったら『はやとぉぉぉぉおおぉぉ!』って帰ってくるのにね、」

十代目はずっと書類の上を走らせていたペンを止めた


そういえばそうだ。
いつもなら任務なんか人の二倍も三倍も早く終わらせ、俺を抱き締めてベッドに…



……じゃなくて

やま…もと……
はやくかえってこいよー






じりりりりりりりりりりりり

「あー…Ciao?」

十代目が電話にでたので俺は窓を少し開け、煙草を吸い始めた
空は青々としていて、煙草の白い煙で濁されてった

「まじ…」

吸うのはあいつの隣がいい
あいつのあの雰囲気…?
なんというかわからないが、空気というかオーラ
それが好きだった
ずっと一緒にいたくなる

それが恋だとか愛だと理解するまでは互いに長い年月がかかってしまった

山本武。
それが俺がただひとり愛した奴だろう

俺らがマフィアだろーが、右腕同士だとかは関係ない
人間として好きになっちまったもんしょうがねぇ





とか。あいつには死んでも言わねぇ
顔から火が出る。

「好き」は言ってやる
心の底からな…

だから………













ガターン

「Già dica una volta!Io non lo credo!」

「じゅ、十代目!?」

十代目が電話口でイタリア語で叫んで、思わずいすを倒しながら立ち上がった

「え…じゅう…だいめ……?」

「た、けし……が……任務で…」
  














「―――――ッ!!」



何かが崩れた気がした





ばいばい、
(あのベッドでの甘い言葉はもうかけてくれない)(ごめんな)(おまえしかみてなかった)(さよなら、)


―――――――――――――――――――――
ごめんな、ごくでらっていうのがかきたかった。

2009.02.10

 

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