Long story

□出会い・第四章・
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みちるが日本に行く決意をしてから早,一月が経過した。
この1ヶ月は帰国の準備や編入手続きなどであっという間に過ぎ,気が付けば季節は,いつの間にか冬から春へと移り変わろうとしているところだった。
日本では梅の花や,もう少し後には桜が綺麗だろうと周りに言われても,小さい頃の記憶の中には,朧気にピンクの花が舞い散る様子が浮かぶのみだった。

日本に行くと両親に切り出した時は,みちるは今までで一番緊張した。
両親に猛反対を受けるだろうという予想は大きく翻され,驚くほど簡単に了解を得れた。
みちるが何かを悩んでいたのを二人とも知っていて,悩んで悩んだ末の結論を娘が出したのだと,両親は認識していた。
そしてそれは,みちるがバイオリニストとしての道を自分で切り開こうとする上で必要な事で,親としては理解し,見守るしかないと判断したようだ。この判断には母親が大きく影響したようだが。
ただ,まだ若い娘をもちろん一人で行かす訳にはいかないという理由で,執事である堂元とばあやが共に行くという事になった。
はるかの事はもちろん話していない。
それが嘘をついているような気がして嫌だったが,バイオリニストを目指して頑張るというのも本当なので,みちるは両親の為にも自分の為にも頑張ろうと改めて心に誓った。


そして月日は過ぎ行き・・・。
はるかへの幼い日からの想いを胸に・・・,いよいよ,みちるは日本へと飛び立った・・・。
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