Long story
□出会い・第二章・
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屋敷へ帰ってからも、みちるの頭の中はハルカの事で一杯だった。
たった一度見ただけ、ピアノの演奏を聴いただけなのに、もう一度会いたい。
そうだわ・・・。
ピアノのコンクールに出た事があるって言っていたわね。
お母様がゲストで呼ばれていた事があった筈・・・。
みちるは急いで二階から応接間へと降りていくと、執事である堂元を探す。
「堂元さん!どこ?」
「いかがなされました?みちるお嬢様。」
「前にお母様がゲスト出演したピアノコンクールのプログラム、まだあるかしら?」
「奥様やお嬢様が御参加なさったものは、全て保管してございます。すぐにお持ちいたしましょう。」
「お願い。」
みちるは落ち着かない面持ちで堂元が戻ってくるのを待った。
数分後、堂元は数冊のパンフレットをみちるに手渡した。
「また御用があればお呼び下さい。」
「有難う。」
みちるは堂元を見送ると、近くにあったソファーに腰掛け、大きく息を吐いた。
これに載っているかしら・・・。
意を決してページをめくり出演者の欄を順に見ていく。
ハルカ・・・ハルカ・・・。
それらしき名前は見つからない。
パンフレットも最後の一冊になってしまった。 暫く見ていると、一人の名前に目がいった。
天王 はるか。
・・・もしかして、これ・・・かしら?
他に該当しそうな者はいない。