Long story

□出会い・第一章・(SIDE.MICHIRU)
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雪がサンサンと降り続き,辺りがすっかり白く染まってきた頃,まだ十歳のみちるは一人街を歩いていた。
ついお店のショーウィンドウに夢中になって,ばあやとはぐれてしまったわ・・・。

いつも歩き馴れた道も,雪に埋もれてしまうと全く別の場所の様に感じる・・・。
誰かに道を聞こうと思うのに,今日に限って誰も外を歩いていない・・・。

そうね・・・。
こんな雪だものね。
せっかくプレゼントを買いに来たのに・・・。

後,半月もすれば待ちに待ったクリスマス。
いつも忙しく二人揃うことが滅多にないみちるの両親も,クリスマスはみちるの為に特別に仕事を休んでくれる事になっていた。
だからみちるは絶対,素敵なクリスマスプレゼントを両親にあげるのだと心に決めていた。
せっかく素敵なのがあったのに・・・。

一人で街を歩くなどみちるにとって初めての経験だった。
ワクワクしていた気持ちも時間が経って辺りが暗くなってくると共に,独りだという事がまざまざと感じられ,心細くなってくる。
ただ綺麗だと感じていた雪も冷たいだけの物になってきた。

早くばあやを探さなきゃ・・・!

早足になるが,雪に足をとられ思うように先に進めない。
みちるは心細さと寒さで泣きたい気分になってきた。
「うぇ・・・,ばあや〜。ママ。パパ・・・。」

一度流れ出した涙は止まらない。
雪と涙で視界がハッキリしなくなってくる。

どうしよう・・・。
もう動けないわ・・・。

みちるは身体は寒さのせいで凍えきってしまっている。
つい座り込んでしまい,立ち上がる気力も無くしてしまった。
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