白銀×昶(×白銀)

□【restrain・ring】
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「私達 世界から取り残されているんじゃないでしょうか」

それは錯覚。
誰にも見つけられないまま2人でひっそりと 死ねたら。
こんな幸せは無いでしょうに。
白いベッドの上は世界から忘れ去られた私達のリトル・ワァルド。

そうして世界は始まる。












午前0時を少し過ぎたぐらい。
テレビは面白みのない洋画を淡々と繰り広げていた。
若い女と男の恋。
彼らは平凡で安っぽい だけれど蕩けるような恋をしていた。
終幕はhappy-endである。
(薬指のリング 純白のヴェールに包まれた幸せ)
私と彼は そんなツマラナイ洋画を観ていた。ただ淡々と。



あぁ…馬鹿らしい。

(人間の永遠の契りは なんて浅はかで ちっぽけなんでしょう!)
左手の薬指に光る 誓いのリング。接吻。
ホントに愚か。
接吻は契約の証。そんなの我々だってしていること。
薬指のリングなんて そんなの安心するためだけのもの。
(左手の薬指は心臓に近いから らしい)
でも言い換えれば心を束縛しているだけじゃないですか。
エンゲージ(或いはマリッジ)・リングは首輪と同義語。
互いに束縛して監視するためだけの稚拙な。
(リングを外して放り投げれば それじゃあ後は自由の身?)
私なら左手の薬指の一本くらい 彼に差し上げるのに。
未来永劫 他の誰とも契ることの無いように。
誰にも束縛されないように。貴方以外には。
(君以外の愛情で雁字搦めになるつもりはございませんが!)


私の心臓。
私の感情。気持ち。心。
全て なにもかも。丸ごと君にあげる。
(目の前にいる可愛い人)
(貴方にならば 私 どのようなお願いも叶えて差し上げる)





「取り外せて道端に捨てられるような愛の誓いなんて なんの役にも立ちませんね」
そんな言葉を言ってのける私に彼は「その通りだな…」と呟いた。
そうして彼は 無言のまま私の左手を取って薬指の付け根に噛み付いた。













鮮やかな傷は赤い糸を思わせる それは束縛でもあった。
(この傷が消える前に また傷つけて はやく)
(いつか消えて無くなってしまうとしても 今だけは)













 
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