焔緋×白銀

□【ホメオパシィ】
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orning

いつも思う。
罪悪感と自己嫌悪で迎える朝は もう二度と来ないようにと。
自分の身体に残る 鬱血した痕跡と。
熱の去ってしまったベッドの隣の空間と。
そして名残を残すみたいに落ちている数本の緋色の髪を見て 毎回思うこと。
どうして流されるのか。
自分の弱さに自分を殺したくなる。

窓から差し込む穏やかな朝の光に 対なる存在を否応無しに思い出す。
何だか見咎められている気分になって。



(あぁ 懺悔します)
(貴方は こんな私を拒むでしょうか)
所詮は私と正反対の貴方。
きっと許しはしても受け入れてはくれないのでしょう?
(私達は永久に平行線であり交わる事を知らない)


愛してます。
愛しています。
でも それは精神的な愛情。
プラトニック・ラブ。
なんて美しいだけの愛でしょうか。
だけれど気高く美しい貴方には相応しい。
(こんな汚い欲望とか行為とか 貴方には吐露出来ない)
貴方が私の名を呼ぶ声は この汚れきった世界と私に光を与えてくれる。
それは救いです。







だけど。
彼が私の名を呼ぶと それは音だけを残して意味不明になる。
彼の声が熱く熱を持って 言葉の輪郭を溶かしてしまうから。
私の名が何を形容しているか解らなくなるんです。
私を意味してない。
ただ 酷く淫猥な響きを持って身体の芯を貫いていく。
この感情が指し示すコト。
その意味を理解した瞬間に 私は絶望感に襲われた。











溜め息混じりに目覚めた その日。
私は初めて彼を愛しているかもしれないことに気付いたのだ。











(貴方だけを愛せない こんな私でゴメンね…)












 
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