DUST

□【Dreamer】
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α(とある現象)

ふわり。浮遊する意識と覚醒。
朝というものは常に悲しみを成就させるかのように訪れる。
目覚の瞬間は いつも物憂げだ。
そしてそこには一片の理由すらも存在しない。
まどろみの消去は望みもしないのに やって来る。
そして俺達は決して その現象から逃げ出すことすらも出来ないのだ。
許されない。それは理である。

一切の変化すらも受け付けない。
(澱んだ水が濁るように 停滞は腐敗を生み出すというのに?)





 
β(ひとつの仮定)

「影も夢を見たりするのか?」
「さぁ…それはどうでしょう?」
「……お前は?」
「私は夢を見ていますよ?ただその記憶が無いだけで」
「それって曖昧じゃねぇか」
「確証を他に明示することが出来ないだけで ですか?」
「だって自己主張だけにしかならない」
「では仮定で結構です」
「嘘に思われても構わないってことか?」
「そんなまさか。だって夢を見るって素敵なことじゃないですか!」

信じて貫き通せば 嘘だって真実になることもあるかも知れない。
(アンヴィバレンツ 対極の事柄すらも俺達の世界は同時に紡がれていく)





 
α+β(両事実の融合)

光の帝国。
朝に抱かれた夜の絵だった。
或いは 闇を内包する光の絵でもあった。
「これは君のようですね」
事も無げに奴は告げる。
だけれど俺は否定する。ちっとも似てやしない!
だってこの絵は完全に止まってしまっている。
前進することは二度とない。
朝 或いは夜 なんてものは来ないのだ。

静寂に包まれた人々の生活を嘲笑うかのように抜ける青空。
(朝と夜 光と影の境界線なんてもの それは元から存在しないのかもしれない?)





 
=(導かれる結論)

白いシーツの上で2人で寝転んだまま怠惰な空間を堪能している。

「私は ただ君が安らかに眠れるように祈るだけです」
「想うだけかよ」
「…訂正。君の眠りを守るためなら 私 どんなコトだって厭わない」
「自己犠牲」
「自虐的ですよね」
「とことんな?」

そうして俺達は他愛の無い無意味な囁きを繰り返して そんなコトに声を上げて笑い合う。
(秘密の約束と情事 鏡の中のアシンメトリィと互いのパラドクスすらも易々と踏み越える)












Bed-room story
それは夢物語でもあり寓話でもあり 願望ですらもあった。



















 

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