焔緋×白銀

□【欲望の哲学】
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彼はまるで灼熱の炎のように荒々しくも凶暴である。
それは もういっそのこと狂気めいている程に。
(私は常々“彼は精悍で恐ろしく獰猛な獣なのではないか”と思っている)
そして その獣は毒々しいまでも赤い舌で 私の首筋を撫でる。

べろ り。

ヌメる舌先のザラついた感触に あ… と聞きたくもない声が唇から漏れた。
首筋から耳裏に舌先を滑らせて 柔らかな耳介を唇で啄ばむ。
耳腔に舌先を捩じ込まれた時は 直接 中に媚薬でも流しこまれたみたいに熱が籠った。
ぞく… り。と 全身に震えがくる。
彼の舌先の動きに合わせて私の体温が緩やかに上昇する。
まるで蛇みたいに這う赤い獣は 私の身体を緩やかに下降する。
(上昇と下降 本当に?錯覚だ…)


私は まるで粘液に浸されて浮遊する感覚しか今は知らない。








縺れ込むように闇に紛れて 2人で。
冷たい空気が蔓延る室内。
熱っぽい吐息混じりに漏れる声。
生々しい粘着質な水音と。
不純だけで構成された行為と怠惰な時間。記憶。

それから。




……それから……?















 
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