novel
□カタチ、ココロ
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「…頭痛ぇ…」
「昨日あんなに泣いたからですよ」
一緒に朝食を摂ったのはいつぶりだろうか。
こいつといるだけで何もかもが明るく感じる。
「…誰のせいだと思ってんだよ…」
「それもそうですね…すみません」
にへらっと笑う野分…お前、反省してんのか?
「あ、ヒロさん。そろそろ時間ですよ」
「ん?あぁ…」
大学に行きたくない。離れたくない。
今日帰ってきたら…
「今日は俺休みなんで、ご飯作って待ってますね」
今日帰ってきたら…俺は一人じゃない。
「あぁ。じゃ、行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
形ないものが人の心を温める。
それを愛情というのか?
俺にはわからないが、俺にはこいつがいればいい。
それだけで満たされる。
今日はいつもより少しだけ早く帰ろう。
end