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□Alive A Life
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「……レイ、どうしたの?…泣いてたの?」
泣いていた?誰が?…俺が?
そう言われて、目の辺りを擦ってみる。
確かに、拭った手には水滴がついていた。
「……愉快だねぇ」
本当に、愉快だ。
夢で見たものを信じるなら、自分の存在は誰かの生まれ変わりという事になる。
『リュウ』という竜族の少年を知り、その存在に干渉してきた誰かの、生まれ変わり。
一緒に歩んでいきたかったのに、それが出来なかった哀れな誰かの……。
「まぁ、いいか」
そう言って、空を仰ぐ。
誰かの身代わりとして今の人生を生きているわけではない。
だから、俺は俺なりに生きていくだけだ。
…今までも、そしてこれからも。
「さて、そろそろ行こうか」
そう言って、俺は前を見据えて再び歩き出した。