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□Alive A Life
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生まれ変わったら、虎になりたい。
広い大地を駆け抜けて生きていきたいと願った。
のびのびと、何かに縛られることなく生きたいと、掠れて動かなくなっていく頭で考えた。
竜としての人生は、決して良いことだけではなかった。
善悪を知りながら、それでも譲れない想いに板挟みになり、苦しみながら生きてきた。
しかし、決して辛いことばかりだった訳でもない。
竜族は、自分一人ではなかった。
運命と戦う、同じ竜族の少年に出会ってからの人生は、充実していたとはっきり言えた。
時には、同じ竜の血筋であるリュウを導くものとして、また時にはリュウに試練を与えるものとして、リュウを支え、教え、道しるべとなった日々。
彼の成長をこの目で見る度に、血が疼くのを感じていた。
今なら言える。竜族は、リュウがいれば大丈夫だ。
もう、自分は必要ない。
彼は、自分を立派に超えたから。
生まれ変わったら、虎になりたい。
今回の人生では持てなかった自分の意思を貫き通す力を、持って生まれ変わりたいから。
しっかりと前を見つめて走っていきたいから。
だから、虎になりたい。
そう、瞳を閉じて強く願った。
そして、ハッと目が覚めた。