壊れそうな本棚
□身分違いの哀愁
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「…………?」
ひんやりとする、体温の無い手。
柔らかさを感じない、人工の手。
………手だけじゃない。
彼を構成する全てが、彼が『造られた』存在であることを示していた。
カリンカは、相手がつくづく自分とは違う存在なんだと思い知る。
徐々に近付く顔も、全てが…。
カリンカが様々な事を考えているうちに、サングラス越しに映る瞳が、細められて…
「………っ!!」
そっと冷たいものが、唇に触れた。
それが、ブルースの唇であることに気付くまで、少し時間を要した。
「………礼はこれで十分だ」
ふと脳裏に、ワイリーの所から救い出してもらった時の事が、蘇った。
「…?どうした、置いていくぞ」
「…………」
ロックにも何を考えているかわからない、と言われるぐらいなのだから、これも気紛れなのかも知れない。
……でも…。
ブルースと触れ合った唇を無意識に指で触れながら、カリンカは小さくなっていく背中を見つめた。
「……私、貴方に助けられたときは貴方が眩しく見えたのよ…」
胸の痛みを無理矢理振り切って、カリンカは先を行くブルースを追いかけた。