壊れそうな本棚
□身分違いの哀愁
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カリンカは珍しく、一人で買い物に出ていた。
他のロボット達は、最近調子が悪いらしく、コサックが付きっきりで修理を行っている。
せめて、自分が出来る範囲で何か手伝おうと思い、修理に必要な機材や部品の買い出しに出ていた。
特殊な部品となると、一般の量販店では手に入らない。
現に、人よりロボットに関する知識が深いカリンカでも、きいたことの無い物ばかりだった。
それ故に、必要な物を買うために遠出を強いられていた。
「………随分、重いのね」
普段は他のロボット達と一緒に来たりするからわからなかったけれど。
フラフラと数歩歩いては、荷物を地面に置いて休む。
その繰り返し。
思っていた以上に、女の子であるカリンカには辛いことだった。
家まではまだまだ遠い。
いつもの倍以上かかるのだろうか…と、覚悟を決めたその時だった。
「貸せ、俺が持とう」
ふと、声のした方を見上げると、サングラスをした青年が立っていた。
「…ブルース?」
「久しぶりだな」
ブルースと呼ばれた青年は、いとも容易くカリンカの持っていた荷物を持った。
「そ、そんなの悪いわよ。私が頼まれた仕事なんだから」
「気にするな、大したことはしていない」
とは言うものの、やはり自分の仕事を押しつけている感は拭えない。
ただでやらせてしまうのも申し訳無いと感じたカリンカはブルースの傍らに立ち、訊ねた。
「何かお礼が出来ればいいんだけど……なにが良いかしら?」
考え込むカリンカを、ブルースは静かに見つめる。
「…………」
ブルースは、ゆっくりカリンカの頬に手を添えた。