壊れそうな本棚
□契り
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「じゃあ、行ってくるよエイリア」
今日も、貴方は戦場へ赴く。
皮肉ね、戦いを好まない平和主義者の貴方が、平和を求めて戦場へ向かうなんて。
「…………」
私は、そんな貴方に何もしてあげられない。
ナビゲートするけれど、貴方は戦場で傷付いているのに、私はハンターベースにいる。
それが、たまらなく嫌だった。
彼はもう、帰ってこないかもしれない。
見送る度に、不安が私の胸を押し潰す。
「俺の居場所は、ここだから…」
でも彼は笑って言うのだ。
「だから、帰ってくるよ。君の待つ、この場所へ」
彼は毎回私の不安を打ち消す言葉をくれる。
欲しい言葉を察してかけてくれる。
私は、彼の背中に顔を埋め、自身の不安をかき消すように
「……絶対に、帰ってきて」
と、言った。
彼は、「約束するよ」と言ってくれた。
彼は約束を違えることはないだろうけれど、それでも。
私の言葉が、貴方をこの場所に繋ぎ止めてくれるなら。
私は「行かないで」という言葉を飲み込んで、言える。
彼を不安にさせないために。
「待ってるから、貴方が帰ってきてくれるのを待ってるから…」
どうか、今回も、この先も。
貴方に「お帰りなさい」と、言えますように。