ヒバハル
□黒猫と少年と少女
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「…君は?…猫だよね。」
黒猫に問いかける少年。
「…」
ただひたすらその少年を見つめる黒猫。
「今僕はかなり頭が大変な事になってるな。」
ただあの子が来ないだけだ。
バカみたいに弱くなるな。
寂しいなんて感情は僕にはこれまでもこれからも必要ない。
だから。
余計な物は消す。
なのに僕の前に居る猫は、
そんな僕の様子に気付いているのかないのか
つり目を僕の方に集中させている。
そう。今にも話しそうなくらい。
「君は…三浦ハルという子を知ってるかい?」
とうとう僕も頭がきてしまったようだ。
「最近まったく姿が見えないからさ。」
「何してんのか気になってるんだよ。」
「もし、見かけたら…」
これ以上はやめろ。
やめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
僕は…強くないんだな…
少年は問い続ける。
自分の強さを。
まるでそれが何かの罰かのように。
黒猫はどこかに去っていった。