短編story
□スマイル
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それまで友達だったヤツらも俺と話しているときに西崎が物凄い目で睨んでくるもんだから段々俺から離れていった。
友達はいなくなるわ、いじめのターゲットにされるわで学校に行くのが憂鬱になってきた頃、俺に転機が訪れた。
親の転勤だ。しかも外国。
当然俺もついていくと二つ返事でOKをした。
転勤当日まで我慢をし、遂にその日の夕方の便で飛ぶと言う日、俺は最後の挨拶と荷物を取りに学校へ向かった。
教師に無理を言ってクラスメイトには学校を辞めることを言わないでいてもらっていた。
(どうせ言っても何かが変わるわけでもないし)
担任に挨拶を済ませ、教科書を取りに教室に行き机の上を見たとき呆れてしまった。教科書がビリビリに破ってあったのだ。
あまりショックを受けず、『荷物が減ったな』くらいにしか考えていなかった俺はそのまま西崎の机に向かった。
「よぉ」
笑顔で挨拶をすると切れ長の目を少し見開いた気がした。
「今まで本当に世話になったな」
そう言い、俺は西崎を力一杯ぶん殴った。
ガターンと派手に椅子から落ちる西崎。キャーッという女子の悲鳴が聞こえるがそんなことお構い無しだ。
さっきよりも目を見開いて呆然としている西崎にちょっと笑って
「もう会うこともないと思うけどじゃあな」
そう言い捨ててそのままイギリスに飛び去った。