遙かなる時空の中で4

□リンス
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「千尋はこれにしなよ。」

 大型スーパーの棚に並んだ、ボトルを指差して那岐が千尋に云った。


「うーん、たまには違う匂いも試してみたいんだよね。」
「そんな面倒な事するより、いつものものにしとけば確実じゃないか。」

「那岐にはチャレンジ精神ってものがないの?」
「ないね。ほら、さっさと行くよ。」


 そう云って勝手にボトルをカゴに入れてしまった那岐は、相当覇気が無いように周りには映る。
 けれど千尋は那岐がちゃんと自分を助けてくれている事は知っているし、自分なりに感謝しているつもりもある。

 那岐に伝わっているかどうかは分からないけれど、こうして自分の事を分かってくれていると感じた時は、黙って那岐に従う事にしている。
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