遙かなる時空の中で4
□プライド
1ページ/1ページ
「アシュヴィン様。」
「…リブか。」
「どうされました?」
「いや、何でもない。用事はなんだ?」
「ああ、それが、兵の者達が宴をしたいと…」
「宴か…。まあ、我が国が豊かであれば、叶えてやりたい処だかな。」
「それは兵士達も承知なんですが、戦の前に一度后様にお会いしたいそう…自分達が会えるのは最期になるだろうからと…。」
「……そうだな。あの姫は存外兵士達を惹き付ける…此処で士気を高めるのも悪くない。」
「…では。」
「ああ、兵士達に伝えておけ拝ませてやるとな。それから宴の準備を。」
「―分かりました。」
「俺は部屋に戻る。後は頼んだ。」
「はい。…して部屋とは恐れながら后様の部屋でよろしいですか?」
「……自分の部屋に決まっている。」
「…はあ…ですがご自分の部屋では仕事が目につくのでは無いですか?后様の部屋でゆっくりなされても…。」
「………格好悪い。」
「は?」
「そんな格好悪い事できるか。…いくら舞い上がってようと、式が終わって直ぐ妻の部屋で休むなど……格好悪くて見せられん。」
「……はぁ。」
「じゃあな。」
褐色の耳が少し赤くなった皇子は見物すぎるが、これ以上詮索するのは得策ではないので黙って見送る事にした。
数分後、千尋の部屋に入るアシュヴィンを見掛ける事になる。
■〆