遙かなる時空の中で4
□アンコンディショナル・ラブ
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「お前は無償の愛が有ると思うか?
もうすぐ私の夫になる人が、何時もと変わりのない声で訊ねてきた。
結婚式を明日に控えた、三日月の晩の事だった。
翌朝の用意がたいそうかかるからと、周りに早めの就寝を促され、閉じる気のない眼で部屋の窓から夜空を観ていた。
さっきまで此処には風早がいた。私の心境を察して心配をしてくれたのか、たわいもない話をして落ち着いた処で引き上げていった。
何処までも優しいあの声は、まるで明日からも変わらない日々が続くかの様だ。
現実は明日から一変する。それを承知の上でこの婚姻を了承した。中つ国の王として決断をしたつもりだ。
「本当に変わらなければいいのに…」
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