侑くんと雅くんは大の仲良し。
そして…恋のライバル。
「姫ちゃ〜ん、おはようさん。」
「幼稚園行くぜよ。」
今日は侑くんと雅くん、二人揃って姫ちゃんを迎えに来ました。
いつもだったらパタパタと可愛らしい足音を響かせて姫ちゃんが駆け寄って来るのに……
「侑くん、雅くん、おはよう。」
今日は姫ちゃんママが玄関に現れました。
「姫ねぇ、お熱出しちゃったから今日は幼稚園お休みさせるのよ。せっかく迎えに来てくれたのにごめんなさいね。」
姫ちゃんママの話を聞きながら二人が『寂しいなぁ』と思っていると、家の中から姫ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
「うえ〜ん、姫も幼稚園行きたいよ〜。」
姫ちゃんは、え〜ん、え〜ん、と泣き続けています。
それを聞いていた侑くんと雅くんの小さな胸がチクンと痛みました。
いつも可愛らしい笑顔を見せて二人の心を明るくしてくれる大好きな姫ちゃん。
その姫ちゃんが号泣しているのですから、侑くんも雅くんも辛くて堪りません。
幼稚園に着いてからも姫ちゃんの泣き声は二人の耳を離れませんでした。
「なあ雅くん。姫ちゃんのお見舞い行かへん?」
「俺も同じこと言おうとしとったぜよ。どうせなら姫ちゃんが喜ぶような物を持って行くナリ。」
ニッコリ笑って頷き合うと、二人は早速お見舞いの品を考え始めました。
お薬を飲んでぐっすり眠っていた姫ちゃんが目を覚ますと……
枕元に色とりどりの小さな花が生けてあります。
「わぁ、きれい……侑くん、雅くん、ありがと。」
お部屋には誰も居なかったけれど、姫ちゃんには二人からのプレゼントだとすぐに分かったみたいです。
甘い花の香りに包まれながら姫ちゃんは再び夢の中へ入っていきました。
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