よく晴れた昼下がり。 目的地に向かうべく、暑い中歩くアタシ。 目的地とは駅前の噴水広場。 流石日曜と言うべきか、電車を降りたら人混みで、アタシは苦手な人混みにイライラしながら歩いていた。 「やっと来たのう。何分待たせるんじゃ」 噴水広場に着いたら、待ち合わせしてた男『仁王雅治』がニヒルな笑みでそう話し掛けてきた。 「だって起きれないんだもん。アタシが遅刻魔なのはよーく知ってるでしょ?」 「まぁ、長い付き合いじゃからのう」 長い付き合いとは言っても、別に恋人同士って訳じゃない。幼稚園の時からの腐れ縁で、今は学校も離れて雅治は一人暮らしだけどよく会うんだ。 「しかし、こんな色男を待たすなんて、お前さんも酷い女じゃよ」 「自分で色男とか言うと痛い人よ?それに、そんな事言っても雅治はいつも待ってるじゃん」 明らかに作ったようにふて腐れる雅治を気にしないと言わんばかりに言い返すと、雅治は誤魔化すように“プリッ”と口にした。 「最近、また美しさに磨きがかかったんじゃなか?」 街中を二人で歩いていたら、唐突にそんな事を言われて、アタシは眉間に皺を寄せた。 「…何よ、急に」 「いや、周りの視線がのう」 確かに行き交う人達がアタシ達を見ている。 だけど、それはアタシだけのせいではない。 「男の視線の先はアタシかもしれない。でも、女子の視線は確実に雅治でしょ。目がうっとりしてる子ばっかじゃん」 「…やめんしゃい。そういうんはウンザリじゃよ」 溜息を吐く雅治は本当に嫌そうで、アタシは渇いた笑いを漏らした。 雅治は本当にカッコイイと評判で、前に一度だけモデルのバイトをしたら凄い反響だったんだ。それからと言うもの… 立海だけにとどまらす、他校でもファンクラブが出来たりと今だ人気は衰えていない。 「女の子のパワーは凄いからね。凄まじい何かを感じるもん。でもさぁ、自業自得じゃん」 「それはそうなんじゃけど…本当に好いとう奴以外は興味なか」 雅治らしいバッサリと切り捨てるような発言に、アタシは小さめの笑い声を漏らした。 「へー。じゃあ、好きな子いるんだ」 ニヤリと笑うアタシはさぞかし、嫌味な笑みを浮かべてるだろう。 雅治の気持ちに気付いてるアタシは気付かないフリをして、雅治もアタシの気持ちに気付いてるけど何も言わない。だから今まで恋の話なんてしたことが無かったんだ。 「まぁの。お前さんこそ、いるんじゃろ?好きな奴くらいは」 「まぁね。いちおアタシだって女の子ですから」 お返しと言わんばかりにニヤリとした笑顔で質問してきた雅治に、私は極上スマイルで返事をしてやった。 . |