短編(本棚)
□心、生まれいずる
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『心、生まれいずる』
「…ぁあ……っ!」
「――っ」
月の輝く時間。
とある一室に響く嬌声と水音。
ここ、甘寧の部屋で行われている行為は何も今宵だけではなかった。
ほぼ毎日といっていいほど行われているこの行為、甘寧の下で喘いでいるのは女性ではなく。
「ぁ……甘、寧…どの……っ」
「はっ……まだ、余裕あんのかよ、陸遜…」
れっきとした男である陸遜。
陸遜はただ、甘寧から与えられる快楽を受け止めていた。
下肢は何度達したのか分らぬほどに精に濡れていた。
もう限界だ、と訴えようと首を横に振るのに甘寧はそれを受け入れる気は更々なく。
再び自身が挿入したままの陸遜の腰を掴み、律動を開始した。
「ああぁ――っ!」
突然の快感にただ声を上げることしか出来ない陸遜。
甘寧はそれを満足そうに見ると、腰の動きを更に激しくした。
「ぃや…っだ、めぇ……そんな、したら…っあぁ!」
「イイ、の間違いだろ?お前のココは…俺を離さねぇって、喰い付いてくるぜ?」
「ゃ…っ、言わ…ないでっ…」
陸遜は霞がかかった頭で必死に考えていた。
どうしてこんなことになったんだろう、と。
そうして思いをあの時へ向ける。