長編(本棚)

□夢に眠る真実
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最初の頃に比べれば、たくさんの過去の記憶がある。
けれどどうしても思い出せないことがある。

曹丕と司馬懿が言っていた"玉"。
それらしいものは私の記憶にはない。

でもそれが鍵なら絶対に思い出さないといけない…。





5話『夢に眠る真実』





ふらふらな身体に力を入れ、とりあえず陸遜のアパートへ戻ってきた。
そして直ぐに怪我の手当てをした。
幸い出血量が多いように見えただけで傷は浅いものばかりだった。

怪我の手当てが終り、一息というところで甘寧が口を開いた。



「今更俺たちがどういう存在か、なんて言わねぇ。今ある前世の記憶ってのがそれを示してるからな。そんな中、伯言…お前だけは記憶が完全に戻ってないらしい。ここに来る前にあった周瑜の野郎が言ってた」


甘寧の言うことを一つ一つ聞き入れ、意味を理解していく。
そんな中、聞き覚えのある名前に気付いた。


「周瑜殿もいらっしゃるのですか?」
「あぁ、策様も一緒だったぜ」


周公瑾…陸遜の師と言える人物の一人だった。
そして孫策、小覇王と言われた孫家の嫡男。
二人がこの時代にいることを聞き、陸遜は嬉しくなった。

その表情を見て、甘寧は少し不機嫌になっているようだったが。


「まぁ、あの二人の話はそんくらいにしといて…伯言の記憶が戻らないのは生前、"思い出したくないこと"があったんじゃないかって話だ。思い出してみ?今、伯言の記憶は何処まである?」
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