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□movement
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……………。



今、僕はきっと夢の中に居るに違いない。




目の前にある鏡を見ているのですが…どうやら小学生に戻っているようです。




さて…教室に行かなければならないようですね。



昔話した事のある同級生だった方に、無理矢理腕を掴まれてしまっていますから。




「みんな、朝の挨拶をしましょう。おはようございます。」



担任教師に教室。随分と久しぶりに見る風景です。



「一時間目は道徳の時間です。」


僕の席は一番後ろの隅

ここなら何をしていても、先生の目に触れる事はありません。


「早速ですが、みんなに質問です。生きる為に必要な物って、何だと思いますか?」



生きる糧ですか……

そうですね…



今の僕には……



『恋愛』

『想い人』



でしょうかね。




…僕らしくないですか?


でもこれが、
今の正直な答えです。






目を覚ましたのはいつもとほとんど変りなく午前六時。



多少不思議な感じがする夢ではありましたが…


いつもと変わりなく朝を迎えるのに


僕の心は毎日変化しているらしい。


皮肉なものです。



…さて、
そろそろ支度しましょうか。



今日も愛する人に会う為に。


「おはようございます」


「暇か?」


「暇ですねぇ」


彼は毎回ここにいらっしゃる。


自分の仕事はどうしたのでしょうか。いつも暇そうです。


「なんだ!暇ならもっと早く言ってくれなきゃーな、あれ、今日亀山は?」


「彼は午後からですよ」


「そうか。なんならそれまで手合わせでもしないか?」


囲碁、将棋……

彼が来るまで、良い暇潰しになるでしょうね。


平穏な一日になりそうな予感…


それを破壊するかのように今、一番会いたくない人物の足音が聞こえてきました。


まったく騒々しい

亀山君はいつでも大歓迎なようですが


その時いつも僕がどんな顔で、気持ちでいるか分かっていますか?



「特命係の亀山ぁぁ?」


「彼に何か?」


おやおや、いけない

僕とした事がつい……




彼を睨んでしまったようです。



「あっ…警部殿…いたんですか…」


「居てはいけませんか?」


「いえ…別に…」


「おいおい、なんか不穏ないや〜な空気が漂ってないか?」


貴方が割って入って来なくてもよろしい!


「用件が無いのなら一課に戻ってはいかがです?」


「はぁ……?」


ああ…もう


僕だって一個人の人間です!


決して聖人などではない。


ただの感情に振り回される人間です。


「亀山君なら午後からですよ」


「ああ、そうですか!失礼しましたっ!」


向こうも何か察したのか、あきらかに不機嫌な態度で戻っていった。

これでいい

少しは敵を牽制しておかなくては。


「ど…どうした〜?警部殿、伊丹と喧嘩でもしたか?警部殿が喧嘩なんて珍しいな」


「僕だってたまには喧嘩しますよ…さぁ、次はそちらの番です。」

「おっと、そうでした」



こうなったのも


全部君のせいですよ?


分かっていますか?




亀山君……………。


何をされても君が愛しい位です。

自分でもこんなに君を追い求めているなんて、知りもしませんでした。


だから……………。
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