K-on!

□手を繋いで
1ページ/1ページ



もう朝方だ。もう通い慣れた部屋。
激しい行為のあとのせいか、妙に体が怠い。
あと少し寒い。真っ裸だから当然だけど。
ヒョイ、と横を向けば、朝日に照らされた上半身裸の律先輩の寝顔があった。
律先輩の裸に(今更だけど)少しだけ照れてしまって、私はまた視線を部屋に戻した。

「私、こんなにしあわせでいいのかなぁ…。」

行為の最中、私の名前を何回も呼びながら、私の事を好きだと囁いてくれた律先輩。
それが凄くうれしくって、息も絶え絶えに私もです、って返事して、それで――――…


自分で思い出してすごく恥ずかしくなった。
律先輩の体はすごくあたたかくて、それでやわらかくて、とてもいいにおいがした。
私はそのにおいが大好きで、そのにおいが鼻孔をくすぐるたびに、すごく安心した。
もしかしたら私って律先輩限定のにおいフェチなのかも。
なんてバカな事を考えてたら、隣の律先輩がうう、と唸った。
起きたかな?なんて思ったら布団からヒョコリとでてきた律先輩の手が、私の手をとった。

「律先輩?」
「…ぉはよ…。」

どうやら本当に起きたようだ。
寝起きの舌足らずな声に少しキュンとくる。

「おはようございます。」
「…へへ。」

まだまだ寝ぼけているようで、目は開き切っていない。
それでも少しだけ開いた目が、私の事をぼんやりと眺めているのがわかった。

「眠いんですか?」
「んー…まだ、ちょっと。」

絶対にちょっとではないと思う。
すでに律先輩の意識は半分薄れかかっているにちがいない。

「でも…あずさがちゅーしてくれたら…おきる……。」
「バカ。」

コンッと律先輩の頭を小突けば、いてっと間抜けな声。

「…へへ。なんかいいな、こーゆーの…。」

律先輩は笑いながら私のお腹に抱き着く。
二人とも服を着ていないから、なんだかすごく恥ずかしい。

「朝目を開けたら梓がいて、『おはようございます。』って笑ってて、…、ああ、私って、すっげー幸せなんだなって…すごい、思った。」

目を細めて、律先輩は私のお腹に顔を埋めた。

「っ…。」

多分、律先輩は私を殺す気なのだ。
心臓が破裂しそうなくらいにドクドクドク鼓動を刻む。
ばか、ばかばか、本当にばか。
言うつもりなかったのに、するつもりもなかったのに、

「私も、しあわせです。」

律先輩の顔を両手で掴んで、双眼を閉じて、驚いている律先輩の唇に、そっと私のソレを重ねた。
目を開けば、律先輩の真っ赤な顔。

「…ま、まっか。」
「う、っうううっせー!」

自分からかわいい事言って誘った癖に、律先輩はトマトのように顔を真っ赤にしていた。

「っ…もういいからもっかい寝るぞ!」
「ぅえ!?」

恥ずかしがっていた筈の律先輩が私の手をグイッと引っ張って私をベッドの中へ引きずり込んだ。

「律せんぱ、」
「っ。」

ちゅ。

「!?」
「…おやすみ。」

柔らかい感触。
ふわりとしたいい匂い。

「…おやすみ、なさい。」

手は繋いだまま、生まれたままの姿で。







手を繋いで
(さあ、あなたの夢を見よう)





――――――――――――
二周年記念アンケート第三位の律梓でした。
甘いのを見たいとコメントにあったので、いつもの数倍甘めにしました。
え、甘い…ですよね?


誤字脱字感想報告ありましたらお願いします。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ