K-on!

□カノジョ
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触れたら壊れてしまいそうなくらい、彼女の肩は震えていた。
絶え間無くながれる涙に、私は手を出すのを躊躇う。

「っ…ひっく…!」

彼女が小さく嗚咽を漏らすたび、私はやっぱり彼女に手を差し延べようとする。
そのたびにどこか後ろめたくなって、私の手はまた虚空を掴むのだ。

泣かせてしまったのは世間の非難だ。
同性が好きな奴だなんて世の中に五万といるはずなのに、繊細な彼女はそれを重く受け止める。

「みお…、」

私がのどから搾り出した声は、あまりにも情けない声だった。
その声に澪からの返答はなくて、ただただ澪はむせび泣くだけ。

「っ…く、…!」

いつもみたいに軽くちゃかして笑わせて、それで終わりになるなんて絶対にない。
だって泣かせたのは偏見のせいだとしても、少なからず私のせいでもあるのだから。



だから…――



「みーお。」

今度は、自分でもびっくりするくらいにやさしい声が出た。
そうすれば俯いていた澪が、少しだけ顔を上げた。
泣いているせいかいつものきれいな碧眼は、充血して真っ赤になっていた。
それに私は少しだけ悲しくなって、けれど、顔には出さないように、私は澪を抱きしめた。
後ろめたさなんて、もうなかった。

「っわ…!?」
「澪。ごめん。」

澪の首に腕を回して、さらに引き寄せる。
そのまま啄むようにキスをして、私は澪の肩に頭を置いた。

「なん、で…律が謝るの…。」
「だって、澪が泣いてる。」
「理由になってないっ…!」
「じゃあ、澪が好きだから。
好きな奴の泣いてるとこなんて見たくねーもん。」

そうきっぱり言い放てば、腰に回される手。
それがすごくうれしくなって、私は犬が飼い主にするように、澪の顔に私の頭を擦り寄せた。
くすぐったそうに身をよじった澪の目にはもう涙なんてなくて、私はまたそれがうれしくってうれしくって。

「泣き虫澪ー。」
「うっさいバカ律。」
「あはっ。もう調子戻ってきた?」
「…おかげさまで、な。」
「へへ。」

首筋にキスを落とせば、ほら、笑顔が咲いた。









泣き虫さみしがり
(私のカノジョ)







―――――――――――――
ユキさんリクエストの律澪でした!
…あれ…なんかリクエスト内容と異なって…る…?
えっと、その…すみません(´;ω;`)!
こんな駄文でよければ貰ってくださいませっ!



誤字脱字報告ありましたらお願いします。
 

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