K-on!

□『言葉』
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「なあ、ムギ。」
「なあに、りっちゃん。」

きゅ。
差し出された右腕を、指を絡めるように握り返す。
私より少し小さい彼女の手は、子供みたいにあったかくて、なんだか、安心した。

「好き、って言われるのと、愛してるって言われるの、どっちがいい?」

マフラーの中に顔を半分埋めたまま、彼女はそう、私に問うた。
篭った声と少しだけ赤くなる顔にくすりと彼女に聞こえないくらいの声で笑った。

「私は、どっちでもいいかしらね。」
「、なんで。」

やはりというかなんというか。
りっちゃんは不服そうな顔をして私の顔を覗き込んでくる。

「だって、どっちにせよりっちゃんが言ってくれるんでしょ?」
「ぇ、…そ、そりゃ、まあ、な。」

思わぬ返答に照れたのか、りっちゃんはマフラーの中に顔を埋めた。
それがなんだか可愛くて、少しだけ笑った。

「な、なに笑ってんだーっ!」
「いや、だって、ふふ。」

ひとしきり笑って、隣を見ればふて腐れたりっちゃん。
笑いすぎたかしら?
少しばかり不安が過ぎる。

「あの、りっちゃ、
「愛してるよ。」
「、え?」
「だから、愛してる。」

一瞬、言葉の意味がわからなかった。
今までりっちゃんには好きとしか言われた事なかったし、それに真面目に言われた事なかったから。
冬の気温のお陰で冷めていた頬が、瞬く間に熱くなって、心臓がきゅん、と締まる感覚。

「…好きとか大好きとかじゃ、表せないから。
むしろ言葉じゃ表せないけれど、でも、やっぱり、言っときたかった。」

りっちゃんが立ち止まって、私の腕を引っ張る。
ふらついた私の体をりっちゃんが抱き留めて、そして、抱きしめられた。
というより、抱き着かれた、の方が正しいの、かな。
私より少しだけ小さな身長の彼女は、そのまま顔を近づけてきて、軽く、フレンチキス。
ほんとに触れるだけのキスだったけれど、嬉しくて堪らなくて、猛烈に泣きたくなった。

「私も、愛してるわ。りっちゃん。」
「…ん。」

またりっちゃんは、照れ隠しにマフラーに顔を埋めた。






好き、大好き、
愛してる






――――――――――――
律紬ひゃっほう!!!!!!111
ちゅうわけで第三位。最後のカプです。
律紬、大好きなんですけどあまりお披露目する事ができなかったので、いい機会でした。
私自体は律←紬的な片思いが大好きなんですが、やっぱりいちゃいちゃも好きなんですよね。
てなわけで今回は甘?です。
りっちゃんはヘタレだけど、やるときゃやりますよ!みたいな。
ムギもそんな律にドキドキすればいい。
誰得?俺得。


誤字脱字感想ドントコイデス
 

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