K-on!
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「ん…」
朝の光と小鳥の囀りで、私は目を覚ました。
朝特有のけだるい体を起こして、大きな欠伸を一つ。
私は朝が嫌いだ。
おかしな機械音が癒しの睡眠タイムを邪魔して、さらにはだるい体を起こして仕事に向かわなきゃいけないから。
先生になって、多分もう一年が経つけれど、やっぱり私は朝が苦手だった。
…って、あれ、そういえば今日は…
休みか。
携帯の右上に浮かぶ日付を見て思い出す。
朝が苦手とか言ってみたけど、休みなのにちゃっかりいつもの時間に起きる自分が憎たらしかった。
さて、まあ久々に休日に早起きをしたのだ。
なにはともあれ珍しいにこした事はないし、それに今日はなんだか気分がいい。
私がそのままベッドから降りようとした瞬間だった。
「おはよ、センセ」
びっくりして、またベッドに倒れ込んだ。
…、今誰が喋った?
私一人暮らしのはずだろ、なのにどうして隣から声がするんだ?
なんでどうして?
…まさか、幽霊!?
その可能性も低くないと気付いた私はすぐさま布団に潜った。
根本的な解決にはなってないけれど。
なにもしないよりは、多分、ましに思えるから。
すると、下腹部に違和感。
え、ぇっ…え?
強張る顔をそのままに、私は布団の中を見た。
「センセのお尻気持ちいいよねー。
なんか桃!って感じ」
「っ…た、田井中ー!」
そう。
私の隣にいたのは田井中だった。
すりすりと私のお尻に頬を寄せ、恍惚の表情を浮かべている。
…ちょっと可愛いって思ったのは秘密だ、絶対に。
「…そういえば昨日泊まったんだっけな…」
「えー、あたし忘れられてたのかよー」
ぶー、と布団の中で縮こまって拗ねている田井中がどうしても猫に見えてしかたない。
撫でたい抱きしめたい捏ねくりまわして泣かせたい。
あれ、私、なんか最近おかしいな?
恋というモノは人をおかしくするんだろう、そうだ、きっとそう。
全ての原因を恋のせいにして、私は再度立ち上がろうとする。
しかし腕を引っ張られて私はまたベッドにダイビングする事となる。
おいおい、またか。
なんて思ってたら布団の合間から田井中の顔がヒョコリと出てきた。
「どこ、行くの?」
「、朝食作りに」
「…裸エプロンだ」
なあに言ってんだ。
「わざわざ裸になんてなりませんー」
「なに言ってるの?
すでに裸じゃん」
「は?」
田井中の言葉に一瞬キョトンとしてしまう。
裸?私が?
見たくはないが確認のため、自分の体を見下ろしてみる。
…真っ裸です本当にありがとうございました。
「なんでだああああっ!」
「昨日センセが私襲って犯したじゃん。
そのせいだよ」
「まったく記憶にない…」
恋人になったとは言えその日の内に私は田井中を美味しく頂いてしまったようだ。
どうりで田井中の首に赤い斑点があるわけだ、自己嫌悪。
家に連れ込んだ(?)揚句、教え子を襲ったなんて口が裂けても同僚には言えない言えるわけがない!
しかも記憶がなかったなんて相当じゃないか、私なにしたんだよ…
「えーとねー
『…田井中、縛られて興奮しちゃうんだ…
かわいいな…』
って言ってた」
「へーそうなんだ…、
って人の心を読んだ揚句とてつもない事を朝っぱらから思い出させるなーっ!!」
…超、自己嫌悪。