K-on!

□嫌いなわけじゃないんです
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「よっ。」
「…なんで律先輩がここにいるんですか。」

昼休み。
今日はなんだかお弁当を外で食べたい気分だったので、多分だれもいないであろう屋上を選んだというのに。
なぜこの人はここにいるのだろうか。

「なんでって…昼寝?」
「先輩授業出る気ないでしょう…。」

そんな事ねーよー。
そう言って律先輩は笑った。

「お、昼飯?なあなああたしのはー?」
「あ、あるわけないじゃないですかっ。」
「ちぇー。」

律先輩は屋上のそのまた上。
つまり、タンクの下のスペースにいる。
寒くないのだろうか。
本人はへっちゃらそうだから、多分大丈夫なんだろう。

「くっそ、まさか昼飯を食べに屋上にくる奴がいるとはなぁ。
誤算だったぜ。」
「え?」

律先輩は頭を掻きながら、自身のお腹を摩った。

「んー、あたし今日弁当忘れちってさ。
購買って手もあったんだけど…。
行ったら全部売切れてた。」
「…ご愁傷様です。」
「ってわけだから、梓はあたしの見えないとこで食えっ!以上!」

そう言って先輩はわたしの視界からいなくなった。
下からは見えないけれど、きっと寝転がったのだろう。

「…、」

なんだか気の毒に思えた。
あの律先輩とは言え、放課後の部活までまだまだ時間がある。
今日は二年生は7時間の筈だし。

「あの」

気付いたら、声をかけていた。

「よかったら、お弁当。
一緒に食べませんか?」




 
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