K-on!

□有利じゃないわ
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多分、それは一目惚れだったんだと、今になって思う。


初めて会ったのがそう、多分一年生の春の、登校の時だったかな。

久しぶりに私は寝坊した。

こんなにも寝坊したのは初めてで、ああなんで目覚ましならなかったの、と頭の中がこんがらがっていた。
そのせいかな。
私は慣れない遅刻、焦りで、道路に飛び出したんだ。


聞こえるけたたましいブレーキ音と、


だれかの声。


「あっぶねえ!!」


ドンッ、とだれかに抱かれ、私は轢かれずに、道路に突っ伏した。
当然そのだれかも地面に体を強打していたけれど、大丈夫そうだった。


「…っ、大丈夫か?」


「い、いえあなたこそ…!」


よく見れば、私と同じ学校の制服を着ている。
それにタイの色も同じ、同級生だった。


「へーきへーき!」


その女の子はさも当然のように立ち上がった。
カチューシャが光りに照らされて、なんだか眩しかった。
そして、手を差し延べられた。
上を向けば、その女の子の温かそうな笑顔。


なんでかな、なんできゅんときたんだろう。


自分でもわからない。
でも私は確かに、彼女に、恋をした。








あとから、彼女は田井中律という名前だとわかった。
幼なじみの唯が入った軽音部の部長で、パートはドラム、いつも笑顔を絶やさない、元気な子だそうだ。
そのあと顔をあわせれば、あ、あの時の!って、覚えてくれてた。

それだけでも、嬉しかった。
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