K-on!

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「り、りっちゃんが倒れた!?」

琴吹紬は、空港内を疾走していた。
紬はつい先程日本に帰ってきた。
日本だけしか使えない携帯だったので、さっき携帯を開いたら、着信が五件。
全て友達の、唯、唯、唯、唯、唯。
この着信の量に紬は目を見張ると、これはただ事ではないと直感し、唯にかけ直した。
そして、鳴咽を堪えながら話す唯から、律が倒れたと報告を受けたのだった。
そこからはもう早かった。
父に出掛けの了承を貰い、執事に荷物を預け、携帯、財布、バックだけを抱えて、空港から飛び出した。
タクシーを捕まえ、唯に言われた病院に急ぐ。

「………りっちゃん…!!」

最近律が自分たちによそよそしかったのはすでに紬はわかっていた。
意外に勘が鋭い彼女は、律がなにか隠しているのは丸解りで。
しかし、病気だとは知らなかった。
紬はただの気のせいだろうと、自分の中で自己完結してしまっていたのだ。
そんな自分に腹が立ちながらも、紬は病院に着いた。
タクシーの運転手に釣りはいらない、と言って金を渡し、病院に入る。
ロビーには、涙を流す澪と唯が、ソファーにもたれて泣き合っていた。

「…ぁ…唯、ちゃん…澪ちゃ、ん…!」

唯と澪が、ハッ、としたように紬に振り返った。


「「むぎ(ちゃん)…!」」





 
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