K-on!

□Shall we...
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彼女はけして私たちの前では弱みを見せない。、よく言えば強く、悪く言えば頑固な人だ。いつだって笑って、泣き顔なんて澪ちゃんすらあまり見た事ないらしいし、私なんて一度もない。無理して笑ってるのなんてまるわかりなのに。


今日だって、彼女は無理して笑っている。私にはわからないと思っているのだろうか、心外だ。けれど私は気付かない(見て見ぬ)フリをする。それは双方にたいしてあまりよくない事なのだろうけど、私にはこんな対処しかできない。だって、私は臆病で、バカだから。こう思えば楽になると思ったのに、気持ちは沈下するばかりだ。けれど、顔には出さないようにしなければ。自分の事には鈍感なのに、友達親友に対してだけ感がいい彼女にばれてしまうから。器用な事はできないけれど、無理して笑う事くらいできる。私にだって、バカだけど。…ん、よく考えれば、無理して笑うのは、彼女と同じ事をしているという事だ。うん、まあいいや。偽るくらいがちょうどいい距離感だもん。
心の中で笑ったら、顔にも出てたらしく、彼女が首を傾げる。「どした。」なんていつもとちがう声音で言うから…困る。私は返事も曖昧に彼女から目を背けた。二人きりの音楽室は、いつもはみんなの声が響くのに、今はただ、沈黙が続く。おかしいな、いつもなら私と彼女がいたら騒がしいのに、なんで。

「唯。」

はっきりと。
そう、はっきりと呼ばれた。全力で考え事に徹していたから、思わず返事の声が上擦る。顔を上げれば、彼女、りっちゃんの、真剣な顔。こんな顔、見た事ない。笑ってないりっちゃん、見た事、ないよ?

「あのさ。」

落ち着いた声音。
見た事のない顔、声。緊張で、手が震える。なに、なに、なんて。心の中でつぶやくけれど、声にはならない。

「…、えっと。」

私より小さな手が、私の手を、ゆっくりと掴む。それはあまりにも優しい仕種で。私の手は、震えるのをやめた。

「…ずっと、言いたかった事が、あるんだ。」

一言一句確かめるように、ゆっくりとした話し方。見た事もない顔。顔、赤い。
やば、手が汗ばんできた。
りっちゃんの呼吸音が聞こえる。一瞬、息を吸う時間が長くなる。
それが、合図。




「――――――好きだ。」




気付けば、私は彼女を抱きしめていた。









Shall we...
(結局お互い様ってこと)







―――――――――――――
二周年きn(ry第二位唯律でした!
うーん、なんだかイマイチ←
やっぱこの二人はほのぼのだなー、とか思ったり。
唯なんか絶対こんな事思わないよねー、みたいなw



誤字脱字感想くれたら泣きます。
 

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