2
□ふれてみたいな
1ページ/1ページ
モヤモヤする。モヤモヤ。
ドキドキする。ドキドキ。
それは時折苦しくて、でもなんだか心地よくて、手放す気にはなれない気持ち。
胸はチクチク痛むし、触れてみたいし、触れられたいし。
こんな気持ちは初めてだった。
わからないことがあれば素直に聞く、というのが我が家の教訓だから、それとなぁく、憂に聞いてみたら
「それは恋だよ。」
笑いながら即答でそう言われた。
走る、走る、走る!
教室を飛び出し、廊下を駆け抜け、階段を二段飛ばしで駆け降りる。
今まででこんなに一生懸命になったことはない。それくらいの勢いで。
ああ!なんでこんな素晴らしいことに気付かなかったんだろう!
鞄を落としそうになって、でも止まる気なんて毛頭ない。
木製の床がギシギシと音をたて、私を急かす。早く早く。
そして見えた、ゴール。
ぴょこぴょこ跳ね癖のある髪を跳ねさせて。
さあラストスパートだ。
準備はいいかな?
「――――――りっちゃん!」
ああ、振り向き様の彼女の驚きようといったら。
「ゆい?」
感度良好、気分上々!
今の私、すっごくかっこいいよね!
君のもとまで全力疾走。
あと三歩、二歩。
勢いつけて、振りつけて、私は跳ぶ。
私を見ながら呆けてるりっちゃんのもとに―――
「あのね、私、りっちゃんが好き!」