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□お帰りなさい
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「お帰りなさい。」

ぼろいアパートの2階。
鍵を使って扉を開ければ、愛しい彼女の笑顔。
私も思わず顔が綻んで、ニヤけた顔を隠そうと左手で口を隠した。

「どーしたんですか?」

くすり、と笑いながら、梓が私の鞄を受け取った。

「ご飯できてますから、早く入ってきてくださいよ。」

ああ、やばい。これ本当に新婚っぽいわ…。
まあ本当に夫婦になったんだけど。
あ、思い出したらまた顔が…。





「うー……………まいっ!」
「よかったぁ。」

今日の晩御飯は私の大好きなハンバーグ。
梓特製のデミグラスソースと肉汁たっぷりなハンバーグが絡み合って本当においしい。

「おまえいい嫁さんになるよ!」
「いや、もう律のお嫁さんですよ。」

あは、知ってる。
言えば梓が照れ隠しに近くにあったクッションを投げてきた。
それを片手で塞いで、私は笑った。

「あー…もう毎日梓のハンバーグでいいわ。」
「…飽きますよ。」
「だってえ。」

だってじゃないです。
なんて笑って、梓は食器を台所に持って行った。

「あ、洗い物は私がやるし。」
「大丈夫ですから、律は休んでて。」

駆け寄った私を梓が押し返した。
おまえだって疲れてるくせに。私は無理矢理梓から食器をひったくって、梓を抱き寄せた。

「ちょっ…りっ、」
「おまえは本当にいい嫁だなあ。」

なんて言って、肩に頭を押し付ければ、梓の手が背中に回る感覚。
奪い取った食器をさりげなく机において、梓の服に手を差し入れた。

そしたら殴られた。

「いったぁ!?」
「バカ律!」

まるで私の幼なじみみたいな台詞を吐きながら、梓は洗い物を再開した。
むぅ、と頬を膨らまして、また梓を後ろから抱きしめれば、今度は脇腹に肘が減り込んだ。
今度はマジで痛い。
梓は本当に機嫌が悪くなったらしく、洗い物をする動作がなにやら荒っぽい。
私はすごすご退散するしかできなかった。





「あーずさぁ。」
「やめてください。」
「いけずぅ。」

そしてベットの中。
お風呂も入って髪も乾かして、私たちは床についた。
大きなタブルベッドなのに、梓は端っこの方で縮こまっていた。しかも壁を向いて。
あんまりにも寂しいもんだから擦り寄ったら脛を蹴られた。痛い。

「ごめんってば。」
「…反省してますか。」
「当たり前じゃん!!」

反省してるから早く抱き着かせてよ、梓ちゃん!
しかたないですね、なんて呆れたように言った梓は、私の方を向いて、梓の方から抱き着いてきた。

「うぅう…梓あったけぇ…。」
「律も、ね。」

ぎゅう、と寂しかった分抱きしめれば、梓の力も強くなって、うれしくなった私は梓の唇を塞いだ。そのまま恐る恐る服の中に手を入れた。
梓は、もう殴ってこなかった。

「…いいですよ、さっきは悪かったから。」
「マジすか、田井中梓さん。」
「マジです、田井中律さん。」

うれしくなって首筋に噛み付いたら、甘い声。
一瞬で理性がどっかに飛んだ私は、梓の上に馬乗りになった。

「今日は寝かさないぜ、子猫ちゃん。」
「なんか聞いた事あります、それ。」
「まあ気にすんなよ。」

そう言って、唇を舐めたらまた殴られた。






――――――――――――
律梓はあんまえっちしなさそうな感じがした。
 

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