短編小説
□向けられた銃口
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俺は、一番大事な人に最初で最後の嘘をついた。
そう、その嘘をついてしまったのは二次大戦真っ只中のあの日のことだった。
・・・そう、赤紙が届いたのだ。即ち、「徴兵令」ということだ。
赤紙を見た矢先、ある人物の泣き崩れた顔が頭をよぎった。
その人物は頭の中で「生きて帰って」と何度も繰り返していた。
何度この言葉が支えになったことか・・・。
今の俺にはもう関係のないことだ。
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