El Dorado!1

□保護と環境改善問題
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「その優しさがダメなのよ!!」

「え!?」


ビシィッと自分を指差して響くリコの一喝に、ナマエは驚いて手を止めた。
スポーツドリンクを取り落として、自分のシャツからズボンから床から水浸しにした火神をせっせと拭いてやっていた彼女は変な体勢で固まることになる。


「火神君がやった事なんだから、後始末も自分でさせなさい!」

「で、でもこんなびちょびちょじゃ動けないかと思って…」

「そんなんタオルだけ取ってきて投げつけときゃいーの!」

「えっそうなの?」


じゃあ余計なことしてごめんなさい、火神君。
そう言ってそろりと離れたナマエに、火神は漸く金縛りから解放された。


「い、いやサンキューな…でございマスヨ」


正直、そこそこ可愛くそこそこスタイルも悪くなく…つまりそこそこ好みの先輩に背伸びして優しく顔や胸を拭われたりするとどうすればいいのか困る。

何故かは察して欲しい、青少年的理由である。


「後はもう自分でやブッ!!」


じゃあ床を手伝いますねと膝をついたナマエを見下ろして赤くなった火神の顔に、容赦なくタオルが投げ付けられた。


「おい何すんだ…ですか!」

「お前こそナマエにナニする気だ?あぁ?」

「どんな言い掛かりだよ!」


何もしねーよ!目が既にしてんのよ!頭上で言い合う2人を置いといて、ナマエはせっせと床を拭く。


「おいおい、なーにをやっとんだお前らは」

「あ、日向君」

「コガ達がミョウジが大変だって言うから来てみれば…虐めてやるなよ、リコ、火神」

「ミョウジシンデレラみたいだなー!」

「人聞きの悪いこと言わないで!虐めたのは寮のアホ共でしょ!」


入ってきた日向と小金井の台詞に、リコは振り向いて怒った。
その間に横を通った水戸部がナマエの手から雑巾と水の入ったバケツを奪う。


「あ、いいですよ水戸部君!私が片付けるんで…!」


ふるふると首を振ってナマエが伸ばした手をそっと押し戻すと、水戸部はバケツを持って洗面所に向かっていく。
その背中を見た火神はいたく感動した。

男だぜ、水戸部先輩…!

そんな火神の隣でリコが呟く。


「そうなのよ…つまりそーゆー事よ…」

「え?」

「ナマエの寮のアホんだら共には、水戸部先生みたいな気遣いが足りないのよッ!」


水戸部の優しさを目の当たりにして更にぶち切れたリコによって、食堂は“アホ共からナマエを助ける為の緊急会議会場”となるのであった。





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