GIFT
□臆病者の恋
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「あ?テメェ前に、ジェラートは直に食わねえと食った気がしねぇって言ってたじゃねえか。テメェこそスプーン使うようになったのか、気持ちわりぃ…」
「あぁ!?そりゃアンタが昔、下品な食い方するやつと食いたくねぇって殴ったから…!」
「………」
「………………」
スクアーロは、ジェラートを食べるのを再開した。スプーンは使っていない。
ジェラートを啄む拗ねたような口先を見て、愛しいと思う。
だが、そんなこと言えやしない。
馬鹿にされるに決まっている。
いや、俺は『それ』を言ったらスクアーロは消えてしまうような気がして、恐ろしくてならないのだ。
初めて恐ろしいものが出来た俺は、身動きすら出来ない。
「あ、のなぁ」
知らぬ間にジェラートを半分ほど食べていたスクアーロが、小さく口を動かした。
「あー…あ、ありがとなぁ、付き合ってくれて」
心なしか赤い小さな耳も、決して合わせようとしない瞳も、俯いて少し見え隠れするうなじもかわいく見えてきた重症の俺は、思わずその口許に唇を寄せた。
スクアーロが目を見開いたのが見えた。しまった、と思ったときにはもう遅い。
胸を強く突き飛ばされ、さらにはベンチからも逃げられてしまったが強くは言い返せなかった。
スクアーロの目は、泣きそうなくらい赤かった。
「あんたは、いつも、そうやって…っ」
震えた声を、ゆっくり一つ一つ紡ぐ。表情が、みるみる歪んでいく。
「そのたびに勘違いするオレが、どんだけ苦しいか、っ」
ついに瞳から雫が零れた瞬間、スクアーロはその身、その髪を翻して駆けていった。
唇を舐めてみると、スクアーロの木苺のジェラートと俺のカフェのジェラートの混じった味がした。
ああ、もうあんなに背が小さい。
とりあえずあの背を全力で追いかけるとしよう。
(改め、臆病者同士の恋)
***
相互記念と親愛を込めてrion姉さんへ!
…奥手なボスは…好きですか?
すいません、甘いの甘いのーと暗示をかけてたらやたらボスがへたれになりましたorz
ボスカスと姉さんへの愛だけはこもっとりますので、珍しいボスってことで見逃してやってください(^^;
それでは姉さん大好きです!
これからもよろしくお願いします(^з^)-☆