NOVEL

□夕立
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「そりゃ、ボス、あんなガキどもに従うなんて腹が立つわよ?でも…どうするの?」

幹部の一番の古株のルッスが真っ先に不安を示した。
その言葉を待っていたとでも言うようにザンザスの口角が上がった。

「ジジイの直属になる」


二度目の衝撃。
なんとザンザスはあの、あの憎き九代目の下に付こうとしてるのだ。
直ぐ様オレは反論しようとした。が、皆の表情を見て声を出すことができなかった。

「そっか、ヴァリアー続けられるんだ…」

ヴァリアーが存続できるという話に、とりわけ他に行くあてのないベルはよかった、よかったと何度もマーモンを抱き締めた。レヴィも心なしか微笑んでおり、ルッスは「お茶いれてくるわ〜!」と嬉しそうに駆けていってしまった。

そんな幹部の様子を見て、ボスも、笑ってた。


目の前に壁があるような感覚に陥った。
なんでだ。なんで皆笑ってんだ?こんなにも、九代目を憎く思っているのはオレだけなのか?ボスを8年間も氷漬けにした老人を憎むのは、間違っているのか?


(なんでそんな、何もなかったみたいな顔してんだ)


あいつらとの隔たり。
オレは、置いていかれてる。


負けた、のに。

(負けた?)

(それがどうした)


そうだ、オレはこの先を考えたくなかったんだ。



雨が、降ってしまった。

すべてを洗い流す鎮魂歌の雨が。


晴れ上がった大空に、偽物の雨はいらない。



目の端に映る長い髪が、やけに重く感じた。


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