NOVEL
□夕立
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負けた。
オレたちが負けた。
オレの脳は、未だにそのことを信じようとしていないようだった。
もう二度とザンザスの願いは叶わない。オレの誓いは果たされない。叶えられない。あいつが切に願ったドンボンゴレの座に座らせてやることが、できない。
毎日そんなことばかり考えていた。
やはり常人の数倍は頑丈にできているオレたちは、一ヵ月もすれば皆日常生活に支障が出ないくらいに回復していた。一番後遺症が心配されていたザンザスも、外出の禁止されている毎日(アジトに返されるだけ幸せだと思え、と跳ね馬の手下に念押しされた)に退屈そうに自室や談話室をうろうろしている。
あの日から二ヶ月程したある日、突然ザンザスがテーブルから足を下ろして口を開いた。
外出禁止を食らっているオレらは当然皆アジト内にいるのだが、幹部は大体談話室にいる。自室はつまらないのだ。今日も皆談話室に集まって、これから差し入れで届いたケーキを味わおうとしていたのだった。
「…なに?もっかい言ってボス」
「アイツの下に、付く気はねぇっつってんだ」
いきなりの発言に、メンバーは唖然とするしかなかった。
何しろ、あれ以来皆必要最低限しかしゃべらないような空気だったのだ。気まずいというわけではなかった。ただ理由に少しばかりは差があるかもしれないが、それぞれ口を開きたくない気分だったのだろう。
そこでボスの衝撃の宣言。
オレの頭に、いや他の奴らも同じことを考えているだろう、ヴァリアー解散の文字が浮かんだ。
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