NOVEL

□あなたのまえではおんなのこ
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※大人ボス×少女スク





スクアーロがその噂を聞いたのは、仕事のない休日の日であった。

返り血を浴びる仕事をこなしてきて昨晩はさすがに食欲が出なかった彼女は、翌朝起きるとすぐに私室の冷蔵庫に向かった。
眺めると、簡易栄養食と水、消費期限切れの牛乳しか入っていない。

冷蔵庫の扉を力任せに閉めたスクアーロは、一目散に食料の集まるキッチンを目指した。



「いやよねーもう、ボスったら。またよぉ」

キッチンへ続く廊下を歩いていくと、まだ距離があるのにも関わらず野太い声が聞こえてきた。ルッスーリアがいるなら朝食も豪華なものだろう。
ワッフルが食べたいなぁと思いながら、彼女の足は無意識に速くなるのだった。


「ボスがどうかしたのかぁ?」

「あら、スクちゃんおはよう」

談話室にいたのはルッスーリアとレヴィだった。
レヴィが真剣にルッスーリアの話を聞くあたり、大事な話なのかもしれない。

「それがね〜、ほら、ボスこないだもお見合いあったじゃない?」

スクアーロは牛乳をパックから直に飲みながら考えを巡らせる。そういえば。そんなこともあったかもしれない。
それくらいしょっちゅうなのだ。彼に縁談が来るのは。

「また蹴ったみたいなのよぉ〜!今回のお嬢さん、私的には結構ポイント高かったのに!」

「ボスの好みに合っていたと思うんだが」

ふむ、とレヴィまで不思議そうに髭を弄り出した。

(ボスが結婚……。そういや考えたこともなかったなぁ)

あのザンザスも男盛りの今、結婚していない方が不思議なのだ。
ところでスクちゃんお行儀が悪いわよ、あとタンクトップと短パンなんてカッコ女の子がする格好じゃないわ!、とルッスーリアが皿にスクランブルエッグを盛りながら言った。







「なぁー、ボスは結婚しないのかぁ?」


必要以上に大きなベッドの上で、少女は寝そべって足をぶらぶらさせながら首をかしげた。
結局ザンザスは朝食堂に出てこなかった。私室で朝食を取ることにしたらしい。どうにも気になったことは放っておけないスクアーロは、彼が出てこないことを知ると彼の部屋へ突進していった。


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