NOVEL

□耳をすませば
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「…スクアーロ」

暗い部屋に入り静かに扉を閉めると、さっき最後に見たのと同じ場所にあいつはいた。
俺の呼び掛けに細い肩がピクリと動き、背を向けていた顔がこちらを向いた。

「酒かぁ。注いでやるぜぇ」

一緒に飲むとは、絶対に言わない。
その理由は、よく分かって、分かりたくなかった。
ふとグラスにワインを注ぐ手袋に覆われたそれに目がいった。
俺に捧げた左手。抱き返すその手の片方が冷たくてやけにリアルで。
覚えてる。


「お前は冷てぇな」

左手を取ると、ワインに向けられていた目がこっちを向いて不思議そうに顔をかしげた。あの時のように、やっぱり左手は冷たかった。
不思議に思ったのか、こいつはもう片方の手も俺に触れようと伸ばしてきた。

(ああ、触れたくない)

なぜだかそんな思いが脳を駆け巡った。
触れたくない。触れてはいけない。
夢から覚めてしまう。

俺の頬に触れた右手は、泣きたくなるほど冷たくて。

(なんでお前は、)

そんな顔を見られたくなくて肩口に顔を埋める。
懐かしいお前の匂い、そして




(なんでお前は、もういない)





***

これ、伝わりますかね?
あえてあまり多くを語りたくないのですが、アンドロイドのお話ということはわかって頂けるとうれしいです;

こういう話、すっごい思いついちゃうんです。もっとほのぼの書けよって感じですよね汗
そのうちまた違うVer.で出てくると思うんで、そのときはまた付き合ってやってくださいm(__)m
では!


081017
はとり
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