NOVEL
□くたばっちまえサディスト
2ページ/3ページ
「ゔぉぉお゙い…いつまでこうしてるんだぁ…?」
せっかくの休みに昼まで寝ようと思っていたのに叩き起こされたスクアーロは不機嫌であった。
そこはその地区でも有数のファッション関連の店の並ぶショッピング街。すでに昼過ぎを回った日差しがじりじりと彼らを照らしていた。
「気が済むまでよ!ほら、スクちゃんも持ってるお洋服少ないんだから買いなさいな」
「まだ続くのかよぉ゙」
「いつも同じだとボスに飽きられるわよ!」
「ゔ…」
強い日射にもかかわらずイキイキとしているルッスーリアは強気に小指をピンと立てた。
飽きられる…?
それは…困る
まぁ起きたらボスいなかったから暇だったしなぁ…
さっきからちょっと気になる物もちらほらあったし…
「さ、次はあそこ行くわよ!」
「お゙う!」
かくして派手な格好をしたオカマと銀の長髪の男の異色コンビの珍道中はまだまだ続くのであった。
「あ゙ぁ〜…買ったなぁ…」
「買ったわねぇ〜…」
夕方日の落ち始めた頃、小さなカフェの一角で疲れ切った、けどどこか満足気な二人が休息を取っていた。
ルッスーリアがカフェラテを口にしたのを見てスクアーロも何気なく窓の外に目を向けながらカップに手をつけようとした。
「…!?」
静かな喫茶店にガチャリと音が響いた。
「ちょっ大丈夫!?スクちゃん」
「あ゙、悪ィ…手が滑ったぁ」
(なんだぁ…今のは?)
ぼんやりと外を眺めていたスクアーロの目に映ったのは、女と歩くザンザスの姿だった。ザンザスに似た豊かな黒髪を揺らして歩くその綺麗な人は彼の腕に手を回していた。
何を、動揺してるんだオレは。
今までだってあったじゃないか。彼の愛人の世話までさせられたじゃないか。山ほどの彼の愛に媚びる女を見てきたじゃないか。そのたびに思い知らされてきたじゃないか。
なのに。
なのになんでこんなに左の胸が痛むのか。
.