NOVEL

□アンモビウムを君に
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ルッスは、ほんとにいい奴だと思う。
ザンザスがいなくて喚き散らしてたオレを体を張って止めてくれたし、急に泣きだすと優しく背中を擦ってくれた。ザンザスが起きた後も、殴られたオレに黙って手当てをしてくれた。
なんで暗殺部隊にいるのかも、わからないくらいあったかいひと。
オレは母親を知らないが、おかあさんってこんなかんじなのかなと思う。


「ナミモリーヌでタルト買ってきたから後で食べるといいわ」

「ん、」


開け放した窓から入る風が、微かにルッスの持つ花を揺らした。
ああ、いえない。
ずっとずっといいたかったのに。



なんだかもやもやして意味もなく部屋を眺め回すと、風通しの良いように開けてある扉に人影があるのに気付いた。

「ゔぉぉお゙い!ボス!来てたんなら言えよなぁ゙!!」
「あらボス、いらっしゃ〜い」

我らがボス、ザンザスだった。
いつもは閉まっているドアを壊す勢いで入ってくるのに、今日は開いていたので何時の間にいたのか、気付かなかった。
無言でザンザスはルッスーリアがいるのと反対のベッドサイドにある椅子にドカリと座り込む。

最近ザンザスがよく病室に来る。

体内の血管がやばいことになってたらしいのに、ある時期から驚異的な回復力を見せたザンザスは、所々に真っ白な包帯を巻きながらも病院内を歩き回れるくらい体力を取り戻した。
初めて部屋を訪れてきたときは、オレでさえもドアでなく彼の身を案じてしまったほどだ。
その彼が。ほぼ毎日というくらいに。



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