NOVEL

□それは、もしもの話
2ページ/4ページ


何ていわれるだろういや何も言われないかもしれないこっちすら見てくれないかもしれない

そんなこと考えてたらちょっと泣きたくなった。

ボス、これからオレたちどうなるのかな、殺されるかな、もしも、


ガラリと目の前の扉が開いた。
真っ白な病室。
真っ白なベッド。
横たわるのは、闇の帝王。

ああ、ボスだ。
ボスがそこにいる。
何本も管が繋がってるけど、ボスが。


さっきまで考えていたことなんて吹っ飛んでしまった。
ただそこにボスがいることに言葉が詰まった。

ぽん、と肩を叩かれる。やめろぉ、そこいてぇんだぞぉ
「本当はさ、見張ってなきゃいけないんだけど…」
跳ね馬はへらっと笑って出ていった。おい、いいのかよ。




真っ白な部屋に静寂。

微かにボスに繋がった管から機械音が聞こえる。


何か言わなきゃ。
口を動かしたけど、声が出なかった。
あれ、どうやってしゃべるんだっけ?

「てめぇは肺呼吸までできなくなったのか、カス鮫」

酸素マスクのシュコーっという音に混じって聞こえる響く重低音。
ボスの声。
オレの大好きなボスの、声。

言葉のかわりにぱたぱたと何かが膝に落ちた。
あぁ、オレ泣いてる。
我慢してたのに。

「ボ…スぅ……っゔ…オレ……役立たずで…ご、ごめんなぁ゙…!」

オレ、ほんとにドカスだったみてぇだぁ。
あんなに誓ったのに。あんなに見栄はったのに。


それなのに。
『もしも殺されなかったら』なんて。



.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ