NOVEL

□壁虎
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そしてやっと見えてきた門。
いつもは車に乗っていてわからないが、こうして歩くといかにこの城が巨大で重圧かを実感する。

(いままでは誇らしかったこの門も、今では重苦しく忌々しいものになってしまった)


そんな視界の中で輝く銀色。

これだけが、自分の視界を明るく照らし、導く。



「…スクアーロ」

そう呼ぶと、前を歩く少年が止まってめんどくさそうに振り向いた。
その反動で髪から汗が滴る。

少し歩を進めるのを速めて、近づきざまに軽く触れるだけのキスをした。

銀髪の下の暑さで火照っていた頬が、ますます赤くなったのがわかった。

「公共の場だぞぉ…」
「誰も見てねぇよ」

明るいうちのマフィアの本部の門なんて、もちろん人気はない。
わかっているのにそれでも気にしてキョロキョロ動く銀色がかわいくて、さらに手を取って歩くのを再開する。

「ゔぉぉおい!!!」
「うるせぇ」

大声で反論するのに離されない左手がとても愛しく感じて、一生離したくなくて、ずっと握っていたくて、その手を思わずぎゅっと握り込んだ。


「作戦を、考えた」
「何の?」
「…あとで話す」

(俺たちを、地獄へ導く作戦)



その左手が、強く握り返された。







道には誰もいなくなった。
道の脇の塀には所々蔓が伸び、やもりがぺたりとくっついていた。





 それは、壁虎のみぞ知る








***
壁虎とはやもりのことです。
なんかかっこいーので使いたくなっちゃって、しかも動機がこれなんで中身とかぼろぼろ的な……
作戦とはゆりかごのです。
わかりにくくて申し訳ありません汗


てか甘酸っぱいの(主に仔XS)好きでごめんなさい…これからも増殖します←
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