NOVEL
□壁虎
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じわりじわり、と迫り来るような暑さの青々とした森の中にそびえ立つ古城。
歴史のありそうな美術品のようなその城の塀には所々蔓が伸び、やもりがぺたりとくっついていた。
その空間にはやもり一匹かと思いきや、塀の脇に伸びる道の向こうから人影が見える。
「ゔぉぉおい、暑いなぁ゙!!」
はねた銀髪に真白い肌、とこの暑さには到底似合わない全体的に色素を持ち合わせていない少年が歩いている。
「オレは途中に用事があったからよぉ…おまえは付き合うことなかったんだぜぇ?」
その少年は、人物に語り掛けた。
少年の後ろから、背の高い黒髪の少年が歩いてきているのだった。年ごろは銀髪の少年より少し年上といったところか。
「うるせぇ。気紛れだ」
暑さのせいか不機嫌そうに黒髪の少年が舌打ちをした。
「だってよぉ…学校からここまでだいぶ遠いぜぇ?迎えの車でくればよかったのによぉ」
そう、彼らは学校から3時間あまりを歩いてきたのだった。
その点については、用事があるから歩くと言った少年に付いてきた黒髪の少年もさすがに予想外であった。
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