NOVEL
□蝶とワルツを
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今日はボンゴレの同盟ファミリーたち(といってもたかが中小ファミリーだが)との、交流会の意味も含めた会食である。
しかし9代目は偵察で海外へ飛んでいて門外顧問の家光もいない中、指名された代理がザンザスであり、オレはその護衛でついてきたのだった。
“待ってろカス鮫”
そう言われたのは数十分前。
屋敷の持ち主、つまりどっかの同盟ファミリーのボスがケチだったのかなんなのか、護衛のオレは中に入れてもらえなかった。
生憎乗ってきた車は後で迎えに来いと帰してしまったので、外で待つより他はない。
(会食って、何時間かかんのかぁ?)
そりゃ中庭は綺麗だが、それだけだ。
何分もいたら暇になる。
(飯食うだけだろうけど挨拶とかもしたりするんだろうし…)
あ゙あもう、さっきからちょうちょがうっとおしい!
「ん?」
ちょうちょを追い払おうとして振った手を目で追うと、丁度屋敷の大きな窓が目に入った。
あの人影…
( ボスだ )
どうやら屋敷主が長ったらしい屋敷の案内をしているらしく、ボスは他の同盟ファミリーの者と思われる数人の男と歩いていた。
(つっまんなそーな顔だぜぇ)
表情の乏しいボスだが、何年も一緒にいれば表情の変化もわかるようになってくる。
あの顔はつまらない時の顔だ。
(しゃきっとしてろぉ、せっかくイイ男なんだからよぉ)
こうやって見ているとその大きな窓枠が額縁みたいにみえてきて、なんだかザンザスが絵のなかにいるみたいで、とおくて、
そう、こういうのを絵になる、っていうのだろうか?
(こっち、向かねえかなぁ…)
なんて、思ってみたり。
オレのボスなのだけれど、
けれど、やっぱりとおい人なのだと、
(…あ、)
(ゔぉおい!こっち向いたぜえ!)
すげえ!奇跡だ!
とか思っているうちに、嬉しくなってつい手を振ってしまっていた。
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