NOVEL
□くそぼす。
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カス鮫の分際で俺に向かってクソとは、いい度胸だなドカス。
更にムカついたので、掴み掛かってシャツを引いたら、首元のボタンが飛んで、鎖骨まわりがあらわになった。
「強さ」を表す、目立つ傷のない白い肌。
しかし俺は見つけてしまったのだ。
首の 頸動脈のあたりに、うっすらのびる 一本の古傷。
戦いで斬られたのか?
いや、それはない。
こんなところをざっくり斬られて生きていられるわけがない。
それに、他の場所はともかくこんな急所、こいつが斬らせるわけがなかった。
よく見ないと見えないくらいの昔の傷だった。
しかし、こんなところを斬られたら大騒ぎになるだろう。
俺の記憶上にはそんな事件はなかった。
つまりこれは
空白の8年間の――
「ゔぉおい!!ザンザス!このシャツどうしてくれんだぁ!!」
俺が顔をしかめたのに気付かずつっかかってくるカス。
うるせえな、と言うと
奴は ゔ と顔を曇らせて、とりあえず着替えてくると部屋を出ていった。
引っ掛かる。 焦燥感。
カスの分際で俺の脳みそに居座るつもりか。 クソが。
…まさか
「ボースーぅVVお茶ですよーん」
ブチッ
ドン、バン、ガシャッ ドガッ
ちくしょう、思考回路
ブチ切れた
「ど、どうしたのよーボス」
おろおろしながら問うルッスーリア、さすがは格闘家、お茶もこぼさず俺の攻撃をすべて避けていた。
「……、カスの、」
「スクアーロの?」
「首。」
「……あぁ」
あれね、とでも言うようにルッスーリアはお茶をデスクの上に置いた。
「あれは、自分でやったのよ、あの子が」
「……」
わずかに気付き始めていた仮定が真実だった。
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