NOVEL

□馬鹿、二人。
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「なぁ、ザンザス」

カスの呼び掛けに、俺は反応を示さない。
何分書類が多すぎる。
そのカスはといえば、俺の執務室のソファでごろごろしている。

何様のつもりだ、ド畜生が。

「なぁーザンザス、好きだぁ」
応えずにいると、やつは特に気にせずまた口を開いた。

「スキ」

「大好き」

「好きなんだぁ」

呼び掛けに加えて、こいつは幾度となく口を開く。

あーうぜえ。

「うるせぇよ。消されてぇか、ドカス」
こんなこと、言う奴だったか?

俺の中の記憶では、だいぶ恥ずかしがりながら一言だけ小声で呟くカスの若かりし姿が再生されている。


どこで慣れてきやがった。

「このドカスが」

しかし。 しかしだ。
これは以前にも何度かされた、デ・ジャヴのようなやりとりで、

やつはアイを囁いて、それを俺が罵倒して、


そして、やつが笑うのだ。


(また笑ってやがる…)

楽しそうに。うれしそうに。
くすぐったそうに。
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