NOVEL
□こいあい
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「………恋?」
つい口に出してしまった言葉は、やはりと言えばいいのか、ザンザスの有能な耳に捕らえられてしまった。
「あ?」
「いや、恋と愛ってどう違うのかなぁと」
なんとなく、違うということはわかる。
けど、具体的に説明しろと言われたら、できない。
手元の書類から目を離したザンザスの唇が、みるみる間に歪んでいくのがわかった。
「ぶはぁ!サメがついに愛を考え出したか!」
「だああああっ!もういい!聞き流せぇぇ!!」
成り行きといえども、相談してみた自分が馬鹿だったのだ。
先ほどルッスーリアが真面目に答えてくれるものだから、余計に知りたくなってしまったオレが。
恋は一人でするもので、愛は二人でするもの、だと言う。
オレには難しくて、よくわからない。
「…だって、相手がいなきゃ恋はできねぇし。一方的な愛だってあるだろぉ?」
拗ねたように口をつき出すと、しようがないといった様子で彼が口を開いた。
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